※月※日: 日記より 7

「こころの病気」が、いわゆる病気ではないとすれば何なのか?
概念的には「人生の壁にぶつかって存在のぬかるみに足をとられた」といったイメージである。 
それは自由の喪失でもある。
自由がなければ将来を開く意志も希望も持てない。
つまり人生が無意味に傾く。
それは絶望であり、こころの暗闇化である。
その暗さはどのように開いて明るく導けるのか?
信じるときに道は開ける。
暗さは明るさと裏表の関係にあるのだから、暗さがあれば明るさがどこかにある、ということである。
一途にこころが暗く沈むとき、それは生きる意志の喪失でもある。 ’19.11.12.
   
     

※月※日:  日記より 6

精神科の診療は自分との戦いである。
何かと戦うのは有意味を求めてである。
戦いに負けると人生が無意味に傾く。
その何かを乗り越えるときに人生が意味方向に傾く。
人生は刻々と意味と無意味とに分かれる。
かつて、ある患者さんに「いつも患者に毒を吐かれて辛くないですか」といわれたことがあった。
毒を吐かれると思ったことはないが、「暗い心」の話を訊く仕事には違いない。
暗い話を訊く仕事をすることでこころが暗くなることは滅多にない。
「暗い話」を「明るい話」に持っていくのが仕事の本筋である。
だから、この仕事は常に希望と共にあるといえる。
   暗さがなければ明るさはない。
だから明るい話だけを好む人との話は退屈である。 ’19.11.12.